書道を源とした新ジャンルアート|癒楽道(ゆらくどう) 癒楽道(ゆらくどう)では、書道を源とした新ジャンルのアート「癒楽道アート」として作品を作り、販売しています。独自の作品による幅広い感情の表現だからこそ、作品によって、見る人によって感じ方は異なります。あなたにしか感じられない何かがあれば、それはきっとあなたに必要なアートになるはずです。前を目指す方におすすめしたいアートです。

心は伝わる

言っても伝わらないこと

 

 

たまたまマンションのエレベーターに

 

乗り込んできた女性二人は

 

おそらく姉妹のようでした。

 

 

 

「……言うても、あっちは理解できへんのやから

 

言うだけ、こっちの労力の無駄や……」

 

 

 

という言葉が聞き取れました。

 

 

 

 

 

状況は、よくわかりませんが

 

勝手に認知症の親御さんがいるのかなぁと

 

思いを巡らせました。

 

 

 

 

 

 

離れて暮らす母

 

 

私の母は今

 

サービス付き高齢者向け住宅に入居しています。

 

 

 

要介護状態であることを無視すれば

 

一人暮らしをしていますと言えるかもしれません。

 

 

 

現実的には

 

 

母は認知症で

 

 

 

食事の提供を受けながら

 

デイサービスに通い

 

必要な介護サービスを受けています。

 

 

 

 

一人でできることはあまりありません。

 

会話もあまり成立しません。

 

 

 

 

 

 

誰かが見守っていなければ

 

生きていけない状態です。

 

 

 

 

 

専門の施設にゆだねてしまっているので

 

コロナ禍により

 

しばらく会えていませんが

 

 

 

 

お互いに優しい暮らしができていると

 

思います。

 

 

 

 

 

もし今も一緒に住んでいたら

 

 

 

マスク着用のお願いも理解できない母の

 

安全を守り切れていなかっただろうし

 

 

 

まだこの状況がしばらく続きそうな中

 

母ではなく自分が感染してしまったら

 

 

誰が母のことを看るのか

 

それを母が理解できるのか

 

 

不安な日を過ごしていたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れ始めた頃の母

 

 

5年ほど前

 

まだ一緒に暮らしていた頃

 

 

 

母は要介護1で

 

週2回のデイサービスに通っていました。

 

 

 

デイサービス送迎

 

 

 

 

この頃の母は

 

 

言葉は悪いけれど

 

 

反抗期のようでもあり

 

 

 

ある意味

 

 

 

子どもよりタチが悪い

 

 

 

そんな感じでした。

 

 

 

 

 

母自身は

 

 

様々なことが、わからなくなっているから

 

 

 

何をどうしていいのかわからなく

 

わからないから何もしたくなくて

 

 

 

 

そして

 

 

 

その状態を自分でも

 

わからないなりにわかる……

 

 

 

 

 

だから

 

 

怖くて、不安で、辛くて

 

どうしようもなかったと思います。

 

 

 

 

 

ぼんやりもしていましたし

 

イライラもしていましたし

 

悲壮な顔つきを見せることもありましたし

 

激怒していることもありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

当時の写真と最近の写真を見比べると

 

人は気持ちによって

 

こんなにも顔つきが変わるのかと驚きます。

 

 

 

 

 

当時の写真の母は

 

笑っている写真でも険しさがにじんでいます。

 

 

 

 

 

会いに行くたびに

 

写真撮ろうと声をかけますが

 

 

穏やかな優しい顔でVサインをしながら

 

笑ってくれます。

 

 

 

 

 

 

険しい顔つきだった頃の母は

 

 

もともと出不精だったけれど

 

加えて症状の進行から億劫さが増していたようで

 

 

 

デイサービスを休みたい、辞めたい

 

 

 

ということが頻繁でした。

 

 

 

 

 

 

私は基本的には誰に対しても

 

本人の気持ちが最優先という考えですが

 

 

 

 

 

 

この時は、様々な理由から

 

母の要望を受け入れたくありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

母はまだ人の話も

 

話したその瞬間には

 

なんとなく理解できていたのと

 

 

 

 

すぐに忘れてしまったり

 

話を理解できなくても

 

 

 

 

 

 

自分を理解してくれている

 

 

 

相手が困っている

 

 

 

 

というような気持ちは

 

とても感じ取れていたので

 

 

 

 

 

 

デイサービスに行きたくないことを

 

頻繁に言うようになった時

 

 

 

 

 

じっくりと話をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

母に話したこと

 

 

 

 

「どうしても辞めたいなら反対はせんよ。

 

自分の生きたいように生きるのが一番いいと思うもん。

 

 

けど、前にどんな風に生きていきたいか聞いた時

 

 

なんて言うたか覚えとる?

 

どんな年寄りになりたいん?」

 

 

 

 

母は

 

「周りの迷惑かけんようにおりたい」

 

 

きちんと答えてくれました。

 

 

 

 

「うん。でもね、お母さんは、認知症。

 

なってしもうたもんは、仕方ないんよ。

 

治らんけど、今は治らんけど

 

進行を遅らせたり、食い止める方法が

 

いつも言うてるけど、いろいろあるんよ。

 

 

 

私はそのために、今、その専門の所で働きよるんよ。

 

専門家が一番いいっていうことを

 

お母さんにやってもらって

 

できるだけ、お母さんらしく

 

お母さんの望む年の重ね方を

 

してもらいたいと思ってるんよ。

 

 

 

 

デイサービスもその一つ。

 

 

行っても面白くなかったり

 

行けば気を使うやろし

 

気に入らん人がおるんもわかるよ。

 

 

 

行くのめんどくさいしね。

 

 

 

でもね、他の人と話をしたり

 

リハビリを受けたり

 

その一つ一つが脳への刺激になるんよ。

 

 

 

見たくないものを見たり

 

△△さんの聞きたくもない話を聞いたり

 

□□とかのやりたくないことをしたり

 

そんなことが脳への刺激になってるんやて。

 

 

 

議員さんや学校の先生や

 

きっちりした仕事をしてきた人が

 

仕事辞めたら急にボケちゃう話を

 

よく聞くやん。

 

○○さんとこのおじさんもそうやったでしょ」

 

 

 

 

 

 

「そうそう。○○さんとこのおじさんはね……」

 

 

 

 

ベンチに座る高齢者

 

 

と○○さんのおじさんの話を母がするのを

 

しばらくがっつり聞きました。

 

 

 

 

 

 

 

「お母さんも、お父さんが死んで

 

緊張感や責任感みたいなものから

 

解放されて急にボケちゃったやん。

 

 

 

人間、気を抜くと

 

ボケやすくなるんかもしれんね。

 

 

 

それで、デイサービスのことやけど。

 

 

どうしても嫌なら辞めていいけど

 

辞めたら

 

気楽になって、のんきになって

 

進行すると思うよ。

 

間違いなく。

 

 

 

完全にボケ切ってしまえばいいよ。

 

でもね、ボケるまでは地獄やで。

 

 

 

時間や季節や場所が

 

よくわからんようになって

 

 

 

周りの言ってることが理解できんようになって

 

 

 

 

今もちょっとそうやろ?

 

 

 

ものすごく

 

寂しくて、腹が立って、不安で

 

気が狂いそうなんちゃうの?

 

 

 

 

お母さんは

 

プライドをしっかり持っている人やと思うんよ。

 

 

でも、進行してしまったら

 

 

トイレも自分で行けなくなるし

 

ちびったり、漏らしたりの失敗を見られるし

 

 

 

ごはんも自分で食べれなくなるし

 

 

 

そうなったら

 

他人の世話にならんとどうしようもなくなるんよ。

 

 

 

 

この前、

 

もうボケてもいい!施設に入るから

 

って言ってたけど

 

 

 

そこまでになるまでは

 

中途半端にわかるから苦しむんよ。

 

 

 

そうならんように

 

一生懸命に手助けをしてるつもりなんよ。

 

 

 

 

 

水分をしっかりとらなあかん

 

って言うても

 

 

 

しっかり歩かなあかん

 

って言うたのも

 

 

最近、ずっとさぼってるでしょ。

 

 

 

 

 

 

お母さんの人生だから、好きにしていいけど

 

ずっと好きに生きるためには

 

 

 

私が言うてることを

 

ちょっとは頑張ってくれんと。

 

 

 

 

 

だいたいねぇ

 

子どもらが塾を辞めるとか

 

部活を辞めるとかと

 

わけが違うんよ。

 

 

どんだけ

 

めんどくさい手続き踏んで

 

デイサービスにかよえるようになったか。

 

 

 

 

 

お母さんが一日中家におるときは

 

 

 

どうしとるんやろ……

 

 

またとんでもないことしてないか

 

 

一人でわからんことがあって困っていないか

 

 

使い方がわからなくて事故を起こしてケガしとらんか

 

 

 

 

そりゃあもう滅茶苦茶心配しよるんよ。

 

 

 

 

デイサービスに行っている間は

 

 

スタッフさんやらみんなと一緒やから

 

 

何があってもお母さんの安心と安全は守られているやん

 

 

 

だから行っといて欲しいんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉で伝わらなくても

 

 

 

かなり厳しい残酷なことを言ったとは思います。

 

 

 

だけど、母は

 

とんちんかんな相槌を入れながらも

 

一生懸命に聞いてくれました。

 

 

 

 

感情的に怒っているのではないこと

 

自分の気持ちをわかってもらえていること

 

自分のことを真剣に考えてくれていることは

 

 

 

 

伝わったのだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「癒楽道アート」として作品を作り、販売しています。
独自の作品による幅広い感情の表現だからこそ、作品によって、
見る人によって感じ方は異なります。あなたにしか感じられない
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屋号 癒楽道(ゆらくどう)
住所 〒664-0028
兵庫県伊丹市西野
営業時間 10:00〜19:00
定休日:土・日・祝日
代表者名 癒楽道hiro
E-mail info@yurakudou16.com

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