守護神
目次
学生時代の事故
車の免許を取って
間もないころ
事故を起こしました。
起こるべくして・・・
大学の学祭の
期間中のことでした。
なんだかんだと
連日忙しく過ごし
疲労もピークではありました。
軽い打ち上げで
ほんのちょっと
メロンフィズを飲みました。
私は
お酒は強いほうです。
たった一杯の
メロンフィズなんか
屁のツッパリにもなりゃしません。
電車で1時間ほどかけて
地元の最寄り駅まで帰り
そこから
車で帰路につきました。
当時は
飲酒運転には
さほど厳しくなかったんです。
しかも
屁のツッパリにもならん
メロンフィズ
たった一杯だし。
(※今は絶対にしませんよ。もう時効なので許してください)
一級河川を貫く橋を越え
緩やかな下り坂に入ったところ
そこまでは記憶があります。
激突
その後は平坦な道
ど真ん中には中央分離帯
私
居眠り運転で
中央分離帯に激突して
乗り上げてしまったんです。
走行中の途中から
記憶がなかったのは
寝てしまったからなんですが
気づいたのは
ものすごく甲高い
女性の悲鳴で目が覚めたんです。
はっと
気づいた時は
物凄い衝撃の中
車が
中央分離帯に
乗り上げている最中で
上半身が
フロントガラスに
投げ込まれそうでした。
とっさに
ハンドルを
つっぱるように体を固定し
止まりました。
けたたましく
クラクションが鳴り響き
止みません。
車を降りようにも
ドアが開きませんでした。
恩人
コンコンと
助手席側の窓を
誰かが
たたいていました。
「大丈夫か!」
「ネエチャン?!大丈夫か」
見ると
いかつい
多分
そのスジの人でした。
扉が開かないことを
ジェスチャーで知らせると
助手席のドアを開けて
助け出してくれました。
そして
エンジンを切り
クラクションを
止めてくれました。
そこから
家の人に電話するように
指示してくれ
意外にも
無傷っぽい私を見て
「見つからんかったらええんやけどな」
と言いながら
家族が来るまで
そばに一緒にいてくれました。
「見つからんかったらええんやけどな」
というのは
直線100mほど先には
派出所があったからです。
自分で
勝手に起こした事故なので
見つからなければ
罰せられません。
そういう意味です。
結構
家の近所だったこともあり
両親が駆け付けました。
駆け付けた両親は
事故よりも
私が
いかついヤクザさんと
一緒にいることで
血相を変えました。
ヤクザさんと
事故を起こしたのか
と思ったみたいです。
家族が来たので
ヤクザさんは
「なるべく早よ車、移動しぃや」
と言って
その場を立ち去ろうとしました。
まるで
何かのワンシーンのようですが
せめてお名前を……
と聞きましたが
ヤクザさんは
カッコ良く片手を上げて
去っていきました。
事後処理
父親と懇意な
自動車整備のおっちゃんが
父に呼び出され
車を移動してくれました。
念のために
救急病院に連れて行ってほしいと
父に頼んで
連れて行ってもらいました。
なにせ
途中まで
記憶がないので……
寝てただけだと思うけど。
脳のCTを
撮ってもらいました。
見せられた画像の脳が
真っ白だったので
「あ、頭の中真っ白」
とつぶやいた私に
Dr.は
「はいはい、これ、正常ですからね」
と馬鹿にしたように
言いました。
車は
廃車になりましたが
私は
ひざに少しのかすり傷で
済みました。
Dr.に馬鹿にされたのが
なんならPTSDなくらいです。
お巡りさんにも
バレませんでした。
中央分離帯は
コンクリートが
えぐれていました。
ただの事故の話じゃないのよ
さて
事故の際
私が
目を覚まさなければ
フロントガラスに
突っ込んでたはずです。
目を覚ましたのは
ものすごく甲高い
女性の悲鳴
女性を
轢いたわけじゃないです。
あとで
友人に話しても
車からの音だと
言われました。
でも
絶対に
明らかに声でした。
それに
投げ出されそうな勢いの
私の上半身を
多分
その人が
座席ごと抱きしめるように
引っ張ってくれてたと
思えてなりません。
あの状態で
車のハンドルを
つっぱっるように
支えてたって
おかしいと思うんですよね。
あの頃から
私は確実に
護ってもらっている
と信じています。
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